最終更新日:2014年06月01日
河辺 友代(かわべ ともよ)さん
線維筋痛症
今月は那覇市出身で現在千葉県にお住いの河辺 友代さんにインタビュー形式で体験談をお聞きしました。
県内に住んでいた1993年、子宮内膜症と診断され、子宮と卵巣を全摘出する手術を2002年に受けました。その手術で、あるトラブルが起こり、一命は取り留めましたが、再手術の後から手や腕に痛みを感じるようになりました。顔以外、全身に激痛が走るようになり、県内の病院を10カ所以上回っても診断は「異常なし」。ある先生からは精神科を勧められ、気のせいだよと言われ、「病気なりたがり病」だとも言われ深く傷付き「何度も死のうと思った」こともありました。
その後(2004年)夫の転勤で千葉へ移住し、そこでも20カ所位の病院を回りましたが、それでも原因がつかめず、病名が判明したのは2007年に放映されたとあるテレビ番組でした。
偶然この病気を取り上げた情報番組があり、わらをもつかむ思いでその番組に出演した医師を訪ね、初めて病名が判明しました。
病名が分かったうれしさと同時に、死ぬまで痛みと付き合わなければならない絶望感に襲われました。現在も毎日、痛み止めなど8種類14粒、月にすると420~430錠の薬を服用するが痛みが治まることはありません。
全身が激しい痛みに襲われ、自宅にこもることが多かった頃。絵を描くことは大きな負担にならないため少しでも痛みを忘れようとリハビリのつもりで始めたのが、いつの間にか夢中になり描くようになりました。
主人の両親の結婚記念日のプレゼントに「はがき絵」を贈ったらとても喜んでもらい、それから「はがき絵」を描くようになりました。
それらの「はがき絵」を見た義父から個展を「やってみれば」と軽く言われて調子にのり、千葉やふるさと沖縄で何度か個展を開くようになりました。
はがき絵は比較的体調のいい日に描いています。当初は外出もできず庭の草花や野菜など身近なものを題材にしたり、シーサーなど沖縄をテーマにしたのも描いていました。絵にはその時々で感じた素直な気持ちをつづった「どぅちゅいむぬいー」(独り言)を添えています。
個展開催を機に「医者を含め、一人でも多くの人に病気のことを知ってもらいたい。病名が分からず、病院を転々とする患者が減ることを祈りたい」「同じ病気で闘っている人たちの心の痛みをケアできれば」との思いで展示会を開いています。
絵を描いている時に痛みはありますが、自分にもできることがあるんだと気持ちが弾けたようで、当初は「はがき絵」と小さな絵がほとんどでしたが、独学ながらいろんな技法を学び、次第に大きな作品も描けるようになりました。
去年受賞した作品はB1サイズとかなり大きなサイズで、全ての指に突き指のような痛みを感じながら描いた作品なので、千葉市長賞を頂いた時はとても嬉しかった。今年は県知事賞をねらいます。
今回の絵は いつもより気合いを入れました。「長良川の鵜飼い」のイメージ画ですが、ALSという難病と闘っている友人が岐阜県各務原(かがみはら)で産まれ育ち 千葉に来た事を知り、今回の作品で賞が取れたらプレゼントをする約束のもと 描き進めました。
賞ではなく「会員推挙」という栄誉を頂き、千葉市展の会期終了時に彼の元へ届けました。
いつも堂々として、かっこよく生きることを私達に伝えている彼に敬意と応援の意をこめて。
この絵を見て 私の気合いをきっと感じ取ってくれるに違いないと思います。
誰もが「 生きている証」を表現する事は 難しい事だと思います。でも 絶えず その事と向き合って生きている人が近くにいる事をわかって欲しい。
そうなんです。アンビシャスさんからこのお話を頂いた丁度その頃、舩後さんへその絵をお渡ししました。舩後さんと「縁」って本当に不思議だねと話していたところです。
疾患は違えど、共に難病を抱え闘ってきた私たちと、この会報誌を通じ難病情報を広く発信しているアンビシャスが不思議な縁で結び付いたという事ですね。私の病気は難病どころか疾病指定もされてませんけどね!
病気になって何年か経ち、受け入れられるようになってから私がよく言うことですが・・・毎日「痛い」って言っている私より、毎日「痛い」を聞いている人の方がよっぽどつらいと思います。
だから、元気な時は笑顔を大事にし、「ありがとう」をきちんと伝えたい。
病気になって、身体はちょっと「不自由」だけど、決して「不幸」じゃないんです。
廻りの多くの理解者たちに守られています。
詐病とまで言われるこの病の一番悲しいところを私は満たされ幸せです。まだ、その暗闇の中にたくさんの人たちが光を探しながらさまよっている事を思うと、かつての自分の苦しさ悲しさを思い出しつらくなります。
こういう形で病気のことを取り上げて頂けることを心から感謝申し上げます。
これから、広島県、兵庫県、二科展、千葉デザイン展等々への出展と、まだまだ楽しみがいっぱい!どんどん名前を出し、どんどん「繊維筋痛症」を知ってもらえるよう頑張ります。
(注)「我(わん)がさんねー、誰(たー)がすが!!」の精神です。
*(注)沖縄方言で(私がやらねば、誰がやるか!)の意。
河辺 友代(かわべ ともよ)さん
1958年 嘉手納町生まれ 青春時代を那覇で過ごす、2004年より千葉市在住、2007年より痛みを忘れる為、「はがき絵」を描き始める。
2008年千葉市「市民ギャラリーいなげ」で初の個展を開催、
以来千葉・沖縄をはじめ各地で楽描家(らくがきか)と称し個展を開く。最近は大きな絵画展へも挑戦。
4月16日、沖縄国際婦人クラブのみな様が初めてアンビシャスを見学に来ました。
今回の訪問は当クラブが毎年X'masと3月に行うバザーの収益を県内の福祉団体に寄付するのですが、今回アンビシャスでは人工呼吸器装着・難病者のための貸し出し用に、意思伝達装置を当クラブに申請したところ、その審査のための来所となりました。
もちろん審査に通りたいところですが、それとは別にこのような取り組みをしている「沖縄国際婦人クラブ OIWC」のことをみな様にも知って頂きたいと思います。
意思伝達装置の一つで、ハーティラダーという無料のソフトがあります。
その機能のひとつに、自分の声で発音が可能になるというビックリするほどの機能があります。
もちろん、声を発することが出来ないので、意思伝達装置が必要なのですが、ALSなどの疾患で近い将来、声が出せなくなると想定できる場合に、事前に自分の声を録音しておき、パソコンに取り込みます。通常の場合は患者の伝えたい事を文字で入力しスピーカーを通してパソコンに組み込まれた機械音の声に変換します。
一方マイボイスは取り込んだ自分の声を利用して発音が可能になるのです。
年末から放送されていたテレビドラマ、三浦春馬主演「僕のいた時間」の最終回でこのソフトが利用されていました。
録音は五十音の単音とよく使う単文を録音します。家族の名前、挨拶、よく使う口癖、「吸引してください」などの依頼する内容などを録音します。
沖縄ではALSの方2名様の音声録音をいたしました。保健師、療法士とも連携しながら、自分の声で「マイボイス」の導入準備している段階です。
公平で安定的な難病対策・小児慢性特定疾病対策を確立する「難病の患者に対する医療等に関する法律案」と「児童福祉法の一部を改正する法律案」は4月22日の衆院本会議で、全会一致で可決し、参院に送付されました。
平成27年1月に施行され5年以内に見直しとしています。医療費助成対象疾患を現行の56(受給者数約78万人)から約300(同150万人)に拡大。
小児慢性特定疾患も現行の514(同11万人)から約600(同15万人)に広げることになります。
拡大されなかった疾患はどうなるのか、現行受給者の自己負担が大きくなる、重症以外の中症、軽症の場合にはどうなるのかなど、あまりにも判らない事が多いので、今後混乱が予想されます。
臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)
人間だれでも身体の調子が芳しくないと、心の調子も自ずと崩れてきます。
生まれてくるときには、だれもが希望に満ち溢れて生まれてきたのではないでしょうか。
そして年を重ねるごとに、自分ではどうにもならない問題に突き当たったり、人間関係のしがらみができたりして、悩むのだと思います。
悩みの渦中にいると「自分の人生こんなはずじゃなかった」と現状を否認したり、「何が悪かったのだろう」と過去の出来事を後悔したり、「こうなったのは○○さんのせいだ」と責任転嫁したりして、問題を解決する方向から離れていきます。
私たちにはざっと挙げても、1.自分の身体のこと、2.夫婦関係の問題、3.子どものこと、4.自分の親との問題、5.親戚との関係、6.医療関係者・ヘルパーとの問題、7.同病者との関係、8.経済的な問題、9.職場での悩み・就労に関する問題、10.地域の人たちの問題(騒音、近所づきあい等)、といったような10種類もの異なった悩みがあるのです。
このような問題が、整理されずにどんどん絡まりあっていくと心を病んでしまい、「生きていても何の役にも立たない」と思い込んだり、人の言動が信じられず悪意をもっているように感じ、人の親切を素直に受け取れなくなったり、すべて悪い方にしか考えられなくなる危険性があります。そうなると何よりもつらいのは、あなた自身になるのです。
すべての問題を一挙に解決はできませんが、まずは種類ごとに整理をしてみませんか。紙に書いて整理をしてもいいし、種類ごとに絵や詩にしてもよいですし、話すことで整理をしてもよいでしょう。
問題は整理できると、解決しやすくなりますし、解決する意欲もわきますし、協力も得やすくなるのですから!
著:照喜名通
いつものことかもしれませんが、難しい相談やうまくいかないと感じる相談がありました。
遺伝性に関する疾患の相談では、遺伝にも色々と種類があること、誰にも責任は無い事などを基礎知識として把握したうえで相談にのるのですが、直接遺伝に関する相談であれば、専門の臨床遺伝専門医師やカウンセラーへとつなぐ必要があります。
私自身が相談員としての自分の限界を把握しておかないと大変なことになります。
他には、余命が少ないと言われたケースです。小児の発症で「原因は判らない難病です」現在の治療方法はこれこれです。しかし、改善するかも判りません。と宣告された親からの相談も話を聞いていて苦しい思いをします。
もちろん、その親はもっと苦しいですし、発症した本人も苦しいのです。話を聞いていて、もらい泣きをこらえながら、ゆっくりとじっくりと冷静にと心で言い聞かせながら話を聞いていきます。パニックや混乱、怒り、悲しみなど心にある現象を話してもらいます。寄り添いながらとにかく話を聞くようにします。
私自身も苦しい時には、保健師、他県の相談員にとにかく話すようにしています。
それでも長期不眠時は、診療内科へ行き治療してもらいます。早期発見、早期治療が大切だと感じています。
慶応義塾大学看護医療学部 教授 加藤 眞三著
1956年に、米国のサッシュとホレンダーらは、医師と患者の関係について「能動と受容」「説明と協力」「協働作業」の3つの類型を使い分けること提唱した。
「能動と受容」とは、医療者は一方的に医療行為を行い、患者は、されるがままの関係性である。昏睡状態や救急外来などでは、状況によって今でもある程度許される関係性である。
「説明と協力」は、医療者は患者に病状や治療法、その副作用などについて説明し、患者から同意を得た上で医療行為を行う関係性である。患者はある程度能動的に医療に関わるけれども、多くの場合医療者の方針に逆らうことは困難である。
治療に一定の効果が認められ、治療方針がある程度決まった病気が対象となる。胃潰瘍、肺炎や尿路結石などで当てはめられるだろう。
わが国の多くの病院は、この「説明と協力」の関係により医療がすすめられてきた。ただし、この関係では、医師の役割は説明であり、患者の役割は同意し協力することであり、どうしても患者が従属することになりやすい。
「協働作業」は、医療者と患者が、互いに提供し共有した情報を元に医療の方針を交渉し、合意した部分から医療行為を行うという関係性である。自覚症状に乏しい慢性病や生活習慣病が対象となる。双方からの情報のやりとりにより、合意に達することをめざす。この関係性では、患者と医療者は対等の関係であり、パートナーシップとして患者の価値観を尊重することを心がける。
(表4)
表4の左から右に向かって、対象となる病気は、大まかに超急性期、急性期、慢性期の病気となる。類似する関係性は、親と乳幼児から、父親と子供、成人と成人の関係性へ移行する。慢性病では、医療者と患者の成熟した成人と成人の関係がのぞまれるのだ。
患者と医療者の協働作業といっても、現時点では違和感を覚える人も多いだろう。所詮、患者は医療のアマチュアであり、医療者は専門家のプロフェッショナルなのだから、アマはプロのいうことを聞いておけばよいと考える人も多い。
しかし、サッシュとホレンダーらは患者と医療者が成熟した関係性をもち、患者も専門家の一員として医療チームに参加することを求めているのだ。特に、生活習慣病などの慢性病では、このような関係性が必要になるという。患者と医療者の双方が、関係性のあり方を見つめ直すことが求められている。
次号では、専門家として医療へ参加する患者像について考えてみたい。
患者の力: 患者学で見つけた医療の新しい姿
出版社: 春秋社
「患者には力がある!」 毎日を健康に生きるために、そのためにも、真の患者中心の医療を実現するために、いま必要なこととは。
1日なにもしないでいるのは辛いので、去年7月から日記をつけ始めた。その日の体調や出来事などを記録している。ベッド上で過ごす毎日も、まわりのおかげでネタは尽きない。日記はまわりのみんなにも読んでもらっている。色んな事が起こるものだなと読み返してみて思う。そんな日記の一部を少し紹介したいと思う。
◯月△日(日)
朝カーテンを閉めて清拭をしていたらお父さんが入ってきて、「カーテンを開けたらいいのに」と言った。
「だって覗かれたら困るのに」とヘルパーのTさんが答えた。「ネコがしか覗かないよ」と、お父さん。すかさずTさんが突っ込んだ。「オス猫だったら困るさぁね、諸喜田さん」(上品な顔してよく言うよ)と思い、笑いが止まらなかった。
◯月△日(土)
いたでりつくせりで何の不満もない生活より、お父さんのグチを言って気持ちの変化があった方がいいと娘が言った。良いこと言うよ!私がお父さんにグチを言うのも体のために良い事か?だったらこれからもおおいにグチろう!お父さん、覚悟しといて!
◯月△日(土) 訪問入浴あり。スタッフの3人がそろって三つ編みをして現れた。Tさん、Nさん、K君まで!笑いが止まらなかった。マウスピースが取れた。変化に乏しい療養生活にいつも笑いを届けてくれてありがとう。
~みなさん、これからも楽しいネタの提供よろしくね~
定期支部総会&医療講演会
日時:6月7日(土) 13:30~16:30
場所:那覇市民会館中ホール
医療講演:「網膜色素変性症とロービジョンケア」
講師:翁長 正樹 先生(沖縄中部徳洲会病院)
第7回総会&講演会
日時:6月21日(土)14:00~16:00(受付開始13:30より)
場所:国立病院機構 沖縄病院デイケア棟
講演:「患者会に望むこと2014」
講師: 諏訪園 秀吾 先生(国立病院機構沖縄病院)
定期支部総会&医療相談会
日時:6月22日(日)13:00~15:30
場所:那覇市保健所3階
相談者:伊良波 淳 先生(琉球大学附属病院)
平成26年度支部総会&医療講演会(予定)
日時:6月29日(日)13:00から
場所:那覇市保健所 3階
講師:未定
*お問合せ 支部長:阿波連(090-1944-2441)迄
新シリーズ「患者の力」。私自身が患者で、力(ちから)というと何だかまだピンときません。
自分が世間でいわれている「弱者」と外見上では判断できないからかもしれません。
私は病気も含めて私らしく生きたいだけです。
普段感じているそんな心の葛藤を見つめる機会、そして今まで以上に元気に伸び伸びと過ごしていくためのコツを学びたいです。
今後も楽しみにしています!
〈ジュウミー〉
最近、よく耳にする断捨離をご存知だろうか。
不要なモノなどの数を減らし、生活や人生に調和をもたらそうという整理整頓の一つ。
日本には、風水を取り入れいる人も多いですが、そういった、生活環境の改善や、空気の通り道など、気持ちと部屋をスッキリさせる事は、自分にとっても良いので、溜めない、片付ける、そして買うときも「ホントに必要か?」と自問すると良いでしょう。
★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
「流れ星」
流れ星を見て
3回願いを唱えたら叶う
っていうあれは
どれだけ強く願いを思ってるかを
試されてるんだって
竹村 安津季
「ミスティック・リバー」/2003年 アメリカ作
クリント・イーストウッドの、製作・監督作品。
名優になったマドンナの元夫ショーン・ペン主演で、脇を固めるのがティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーンなど。T.ロスは94年の「ショーシャンクの空に」の主役でもあり、95年には「デッドマン・ウォーキング」の監督・脚本・製作をし、妻であるスーザン・サランドンがアカデミー賞を受賞。また、S.ペンは主演で、高い評価をされた。そんな名優たちの共演の同作は、幼馴染3人と、1つの殺人事件からなる「交差模様」で、何度見ても、味わいに飽きが来ない作品。同作は、S.ペン、T.ロスをアカデミー賞を受賞に導いた。
BS3にて、6月20日、23時45分より放送予定。
★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
・・・カラーセラピーやパワーストーンも好きで、時々、ネットで見てます。
この誌面編集が完了する頃、アンビシャスの定期総会開かれ、平成25年度(13期)の総括と今年度の活動方針が示されます。
Vol 143号でも申し上げましたが、アンビシャスは法人設立から13年目を迎えました。
そこでアンビシャススタッフとして常に念頭に置かないといけないことは、設立時の「初心」である「全ての難病者のQOL向上(生活の質)に向け活動をする!
この会報誌も難病情報誌として発刊。ともすれば初心を忘れがちですが、常に「難病の皆様のお役にたっているだろうか」初心に立ち返り、自問自答しながら紙面作りを進めて参ります。
Copyright©2002 NPO Corporation Ambitious. All Rights Reserved.