最終更新日:2019年07月01日
宮城 望(みやぎ のぞむ)さん
クローン病
そう言われたのは、私が大学2年次を休学していた19歳の頃でした。お医者さんにそう告げられた時、私は「え?本当ですか?なんかカッコいい名前ですね(笑)」という言葉が、自分の口から発したことを今でも覚えています。
当時、大学を休学し、東京で「学生1000人夢集めプロジェクト」をしながらお仕事に励み、生まれて初めての1人暮らしをしていました。 そんなある日の夜、急におなかが痛くなり、トイレへ行くとおなかを下していました。最初は、「変な物でも食べたかな?」程度にしか思いませんでしたが、そんな日々が1週間続きました。体重はみるみる落ち、58kgあった体重が44kgまで落ち、怖くなった私は地元へ戻り、病院で精密検査を受け、そこで病気について宣告されました。
クローン病の発症は主に若年期に多くみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こりえますが、小腸と大腸を中心として特に小腸末端部が好発部位です。※非連続性の病変を特徴とします。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。また、クローン病には「小腸型」「大腸型」「小腸・大腸型」があり、人によって炎症箇所が異なります。ちなみに僕は「小腸型」です。
病気を宣告されてからの数ヶ月、精神的にしんどかったです。
具体的に何がしんどかったかというと、病気になる前、週に3日くらいのペースで食べていた大好物のラーメンは食べることができなくなり、お肉も、脂っこい物も控えなくてはいけないということです。食生活では特に地獄でしたね。
半袖を着ると、自分の腕の細さに泣きそうになったり、頬もこけ、人には会いたくない日々が続き、次第に生きる気力さえ無くなっていきました。そんな中、僕を励ましてくれたのは「学生1000人夢集めプロジェクト」で集めた沢山の人の夢でした。もともと、このプロジェクトを始めたきっかけが、大学のとあるサークルで先輩から聞いた、こんな情報から始まりました。
【沖縄県の新卒の内定率は約60%程度、新卒3年以内の離職率は約50%】
僕はこの情報を聞いて、「なぜこんなに内定率は低く、離職率は高いのだろうか?」と考えました。そして大学1年生の頃の僕が出した1つの答えが「夢を持つ若者が少ない」その為、このような現状があるのではないか?そう考えました。
では、この状況をどう脱却するか?
夢を持っている若者に夢を語ってもらい、その動画を夢や、やりたいことがない人に見てもらおう。夢や、やりたいことがない人は、夢を語っている人の動画を見て、「自分の夢ってなんだろう?」「自分のやりたいことって?」といったように自問自答し、そこから自分の夢に向かって行動していってほしいな。というところからプロジェクトがスタートしました。
「夢」が集まりそうな場所を考えたとき、「東京なら沢山の夢がありそう!」という僕の考えで、大学を休学し、東京で活動していました。病気になる前に集まった夢は約300個。本当に、沢山の人からご協力をいただき集めることができました。本当に感謝です。
そしてその沢山の夢に、僕自身が救われることになるとは、夢集め中は思いもしませんでした。
僕は、東京で出会ったいろんな人の夢を見ていく中で、徐々に生きる力が湧いてきました。「病気なんかに負けない、僕にはまだまだやり残したことがある」という気持ちを持って、お医者さんに言われたことはしっかりと守り、生活をしました。
病気を宣告されて、約半年後。体重も50kg台に戻り、おなかの痛みも少なくなってきました。食事制限にも慣れ、病気になった当初は、お酒が飲みたくて飲みたくてたまりませんでしたが、ストレスなくお酒も我慢できるようになりました。
「ひとつの出会いで人生が変わる」
僕はクローン病になり、人生が変わったなと感じています。 それまで当たり前だと思っていたことは当たり前ではないということを知り、心が豊かになったなと感じています。また、日々生きていると楽しいことや嬉しいことだけではなく、それ以上に辛いこと悲しいことありますが、この病気のおかげで乗り越えることができているなと感じています。
(※もちろん家族や彼女、周りのみんなのおかげでもあるということは小さく書いておきます。(笑))
そうそう、夢集めはどうなったかと言いますと、現在夢集めは中断しています。
しかし、それから得た学び、そして病気と出会い人生が変わったことから現在は「人と人を繋げる」ということをやっています。 僕自身が「クローン病」という1つの出会いで変わることができた経験から、僕の周りの人にも良い出会いのきっかけを提供したいという思いではじめ、これまで40以上のイベントを主催、企画し、総動員数は4000人以上になりました。
大学卒業後、自分の体の状態を確かめる為、1年間フリーター生活をしていましたが、週5日でも働けるという自信がつき、今は職探しの真っ最中ですが、自分の病気を理解してくれる会社に入社できればなと思います。
これからも「誰かの」「何か」になれるように、たくさんの人を巻き込みながら楽しく生きて行きます!
※非連続性の病変…病変と病変の間に 正常部分が存在すること
宮城 望(みやぎ のぞむ)さん 1994年生まれ
【挑戦したいこと】富士山に登る
【最近の楽しみ】漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を読むこと
【好きな言葉】楽しいから笑うんじゃない、笑うから楽しいんだ
5月25日(土)イオン那覇ショッピングセンターにて「第24回幸せの黄色いレシートキャンペーン」の寄付贈呈式が催され、38万円余りのご寄付を頂戴しました。
頂いたご浄財は難病情報誌「アンビシャス」をお送りする封筒約1年半分と、相談員の古くなったパソコンの入れ替え等に充てさせて頂きました。イオン琉球株式会社様、そしてお客様に深く感謝申し上げます。
残念ながら2019年度はエントリー団体からは漏れてしまいましたが、次回、再エントリーの機会も頂けるとのことで、2020年度には復帰できるよう、今まで以上に難病支援事業に取り組んで参りたいと思います。
イオン琉球株式会社様、またイエローレシートを通じ、ご支援を頂いた皆様の長年のご厚志に改めて厚く御礼申し上げます。
今年度も那覇看護専門学校、ぐしかわ看護専門学校の看護実習が始まりました。アンビシャスでは、毎年5月から11月にかけて看護学生さんを受け入れ、在宅看護実習を行っております。
実習では、これから医療の現場で働く学生さんに難病のことを知ってもらう貴重な機会ということもあり、難病に関する法律や制度、在宅支援に関連する緊急時の電源確保策の紹介、意思伝達装置などのコミュニケーション支援について説明させて頂いております。その中で最も力を入れているのが、患者さんと接する際に基本となる「傾聴・共感」です。事例を用いたロールプレイを行い、相談を受ける際の姿勢を学んでもらっています。
医療の現場で難病の方々と関わる機会は少ないかもしれませんが、難病を持つ方々の良き理解者として、医療現場で活躍されることを願っています。
沖縄での難病センターは、難病医療拠点病院としての沖縄病院をはじめ県、保健所などとの連携が密であると思います。
沖縄病院では諏訪園秀吾医師を中心に色々な調査研究をしていますが、昨年から沖縄県における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の呼吸管理と在宅療養の調査を各保健所とも連携し、まとめた内容を発表してきました。
大変興味深い調査結果に会場からの質問も活発でした。調査結果の詳しい内容は別途ご案内しますが、今後も難病相談支援において有意義な内容ですので継続していきたいです。
2018年度アンビシャス第18期定期総会を5月27日に開催、昨年度の事業報告・決算報告及び、今期事業計画・予算計画の審議及び報告を行いました。昨年度も数多くの皆様のご支援のもと、充実した難病支援活動が展開できました。ご支援を頂いた皆様に厚く御礼申し上げます。
昨年度は難病医療相談会(無料)の他、患者ご自身のメンタルをセルフコントロールする「メンタル・ヘルス講座」や患者さん同士でケアし合う「ピア・サポート養成講座」の充実に注力しました。
また2016度よりハローワーク那覇の難病患者就職サポーターによる、出張就労相談を毎月行い、難病をお持ちの方の就労相談にも努めています。
上記活動を含め様々な難病支援活動に取り組むことが出来たのも、賛助会員の皆様や多数の寄付をお寄せ頂いた皆様のご支援の賜物と改めて深く感謝申し上げます。
(活動報告の一部を今月号に掲載、詳細はホームページの団体案内、決算報告よりご確認をお願いします)
臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)
生きていれば当然、理不尽な出来事に遭遇します。ひとは、そこで感じた理不尽さを表出する場合もあるし、表出しない場合もあります。理不尽さと同時に表出される怒りは、(1)相手に向けられるか、(2)自分に向けられるか、(3)状況に向けられるか、(4)怒りをどこにも向けないか、といった傾向に分類されます。
(1)の場合には、対人関係に亀裂が入ることがあります。ただし当然、相手に直接向けるべき怒りもあります。また、相手が年下である場合に向けられやすいのか、女性に対して向けられやすいのか、目上の相手に対して向けられやすいのか等、あなた自身の傾向が出ることもあります。(2)の場合には、理不尽な対応により傷つき、さらに自分で自分自身を傷つけることにもなるので、二重かそれ以上の傷つきが生じます。(3)の場合には、ひとに怒りを向けない無罰的な傾向があるため、建設的に物事を進めることができる可能性があります。(4)の場合には、平和主義的な傾向とも言えなくもないですが、自分の気がつかないうちに怒りはこころに蓄積し、夢にその怒りと傷つきが表現されたり、身体症状として表現されたりしてしまいます。タイミングや状況によっても怒りを向ける傾向は変化しますが、自分の怒りの感情と怒りを向けやすい傾向について知ることで、対人関係の問題が生じた際に、ふと気を付けることができるかもしれません。
基本的には、正当な言い分については社会的な常識の範囲内で相手が受け止めやすい言動がよいでしょう。※アサーションのスキルも活用して相手に自分がどれだけ傷ついたか悲しかったか等を伝えることも望ましいです。適宜ストレスを解消しつつ、自分を守っていきましょう。
※アサーション…相手を傷つけず尊重しつつも、自分の主張はしっかり行う円滑なコミュニケーション方法
著:照喜名通
在宅で針を刺さないで採血し、毎日のトイレの様子や、睡眠時の脳波など、今の健康状態を家庭でも分かる時代がもうすぐやってきます。血圧や心拍数などは家庭で腕に巻き付けて記録するのは既に一般的になっています。おそらく20年後には今私たちが想像もできなかったようなことが発明されることでしょう。これは夢物語でもなく確実にやってきます。
ところで、このコンピューターによる人工知能(AI)はどうやって動くかというとやはり電気で動くのです。停電になるとそのダメージは今以上に大きくなると思います。もちろん探求心が旺盛な人類はダメージを少なくしようと考えますから、自家発電機もより小型化し、蓄電池型電源も高出力化と、安くて容量の多く長時間の発電機や蓄電池の普及がどんどん加速し、停電時の予備電源となっていくのでしょう。
さらに台風時風力発電、ロウソク発電、モバイルソーラー発電などの実用化も期待されます。
今よりは在宅で人工呼吸器を付け療養するのも停電を心配する必要がない時代がもうすぐやってくるのかもしれません。人間の英知を楽しみにしています。
慶応義塾大学看護医療学部 教授 加藤 眞三著
普段、面白おかしく元気に過ごしているときには、「自分が生きている意味があるのだろうか」などと考えることは余りないものです。ところが、重い病気で死を意識しなければならない状況や今までとは全く異なる身体状況や何らかの挫折などを体験する人生の危機を迎えると、そんな思いに悩まされることになります。あるいは、重病や障害を抱えると「なぜ、こんなことに」という疑問をもつことになり悩まされます。その意味を求めてしまうのです。
しかし、「生きていることに意味なんてあるのか?」と意味があるのか、ないかを深く考えるよりは、むしろ意味を見つけられた方が生きられることができると考えた方が良さそうです。
「なぜ、人は意味を求めてしまうのでしょうか?」それは生まれてより意味を求めるものとして育てられてきたからではないでしょうか。道具を使ったり、農耕を開始したことにより、動物としてのヒトが人間になり、行動することに意味を求めてしまうことになってしまったのです。
学校でよい成績をとるために勉強する、よい学校に入るためによい成績をとる、よい会社にはいるためによい学校に入るなどと、人は今の楽しみを犠牲にしながら、将来のために努力することが求められて育てられてくるのです。
今行っている活動に意味を求めるのは、人がそのように育てられてしまったからなのです。つまり、意味を求めることを宿命づけられているのが人間の生き方なのではないです。
ですから、人生のできごとに、そして生きていることに意味があるのか、ないのかではなくて、意味を見つけられたところに活動が始まるという言い方が適しているのかも知れません。それは自分の将来の楽しみのためであってもよいし、他人のためであってもよいのです。その人が自分で納得できる意味が見つけることができれば、そこが出発点になるのです。
エリカ・シューハート教授は、人生の危機に直面した人の心理的な経過を分析し、らせん状の8つの段階を経ていくと述べています。危機を起こす事件の意味が見つけられた時が、第6段階の受容であり、そこから第7段階の活動、第8段階の連帯へと上がっていくというのです。
現在を肯定し、そこから活動するためには、今までの固定観念から飛び出すことが必要になります。しかし、それまでの生き方や考え方をいきなりすっかり変えてしまうという作業は、とても強い意志が必要であり、一人でおこなおうとしても中々大変な作業です。かといって、誰かに教えを請うことにより、納得できる意味が見つけられるわけでもありません。
自分の過去のあり方を振り返り、自分を見つめながら、心の底から望んでいることが何なのかを問うことにより、現在の状況を受容しそこから可能な活動を見つけていくことになります。一人だけで作業を行おうとしても、囚われや癖があり、どうしても視野が狭くなりがちです。そんな時に、その過程を助けてくれるのが傾聴者なのです。
東洋経済オンラインに加藤先生による「市民のための患者学」2週間ごとの連載スタート!
http://toyokeizai.net/articles/-/143366
患者の力: 患者学で見つけた医療の新しい姿
出版社: 春秋社
「患者には力がある!」 毎日を健康に生きるために、そのためにも、真の患者中心の医療を実現するために、いま必要なこととは。
我家と隣の実家の間を結ぶチェーン。家内が朝早く6時には我が家の番犬、ゴンとチビを家から外に出すと、チェーンを伝わり実家の濡れ縁の上に2匹とも並んで立っている。とても寒そう震えていますよ。
ゴンとチビはとても散歩好きで雨が降る朝は母が雨カッパをかけて出かけます、チビは水溜りが大好きで中に入ってピチャ、ピチャ遊んでいる。ゴンは後ろから水溜りをよけて附いて来るだけ。
ちなみに2匹ともトイプードルです。かわいいですよ。
難病がある方や家族の方、サポートする方々で日常感じている悲しみ、辛さ、笑い、皮肉や優しさなどを短歌・川柳にしてご応募ください。
採用の方には寄稿料として千円相当のクオカードを進呈します。詳細は事務局までお気軽にお問い合せください。
難病川柳
爺ちゃんサーファー 夢と一緒に 波に乗り
作:クレムソンキングさん(難病応援団)
テレビで見た85歳の爺さん、引き込もりを止め71歳から始めたサーフィン、ただただスゴイ!
難病短歌
医師言った 完治は無理です ガンになり 難病になる 記憶が助ける
作:上里栄子さん(天疱瘡)
乳がんの後、難病が発覚。メンタル強いね!と言われる。それはね、子どもの頃の愛された記憶があるからだよ。と答える。両親に感謝。
数多くの賞を受賞している、是枝裕和 監督のお勧め作品3作
「ワンダフルライフ」
アメリカやカナダでの評価の方が高い作品。死後、一番大切な思い出を聞かれ、その後行く世界は?出演の小田エリカは沖縄県出身。
「誰も知らない」
子供置き去り事件を題材にした作品。柳楽優弥が史上最年少でカンヌ国際映画祭、最優秀主演男優賞を受賞。
「歩いても 歩いても」
出演に、後に是枝作品の常連となる樹木希林も母親役で出演。家族、老い、死、喪失感。そして生きることを考えさせられるホームドラマ。
★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
・・・カラーセラピーやパワーストーンも好きで、時々、ネットで見てます。
6月9日(日)に独立行政法人国立病院機構沖縄病院西病棟3階療育ホールにてたくさんの方々のご協力のもと第12回総会を開催することができました。関わってくださった皆さまへ心を込めて感謝申し上げます。
今年度の事業計画としては目標を3つ決めました。
(1)会員患者宅訪問を増やす (2)ALSの在宅療養の場合、入院時に利点のある重度訪問介護等の勉強会開催 (3)会員を増やすことです。
上記3つを通して、当支部の社会資源としての価値を高めること、安定した運営を目指します。第2部では沖縄病院 脳・神経・筋疾患研究センター長、諏訪園秀吾先生に「ALS治療研究開発の最前線とこれから」と題して最新の治験情報や生体電位信号を読み取り動作するHALや脳波による意思伝達装置についてお話いただきました。
ALSや日々サポートくださる方々と幸せな環境のためどう向き合っていったらいいのか考えることができました。交流会では大切な命の選択の相談について共有しました。
長い梅雨もそろそろ終わり、いよいよ夏本番、日に日に暑さが増してきます。日中はなるべく涼しい屋内で過ごし、小まめな水分補給を心がけて熱中症にならないよう気を付けて過ごしましょう。
さて今月の「表紙は語る」はクローン病の宮城さんに体験談をお寄せ頂きました。まだまだ若く食欲が旺盛なこの時期の食事制限はかなり辛かったと思います。しかし大学在学中に手掛けた同世代の「夢集めプロジェクト」から触発されて「生きる力」を得た過程が語られました。難病をお持ちの若い方々のヒントになれば幸いです。
話は変わりますが、5月末の総会で承認を頂いた活動報告を一部抜粋して今月号に掲載しました。賛助会員の皆様やご寄付の皆様に支えられ2018年度も無事終えることが出来ました。改めて感謝申し上げます。
合わせて今年度の賛助会員ご継続のお願いと新規の賛助会員を募集しています。会員の皆様のご支援が私共の活動の源泉です。今年度もご支援の程よろしくお願いします。
(個人賛助会費…年会費3000円)
文 仲村明
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