最終更新日:2019年12月01日
早田 淳子(はやた じゅんこ)さん
原発性胆汁性胆管炎 他
私は現在、原発性胆汁性胆管炎と全身性エリテマトーデスの難病の他、ぶどう膜炎もあり治療中です。過去にはくも膜下出血に敗血症、細菌性肺炎等の既往歴がありました。
最近の事で言えば、4年前の平成27年10月5日、夜中に突然目が覚め、両足首周辺から指先にかけて麻痺して感覚が無いことに気づき、ドキッとしながらも床を這いながら起き上がろうとした瞬間に転倒し、病院を受診することになりました。
レントゲン検査の結果、左足小指の骨折が認められギブスで固定した後、入院するという最悪な一日でした。入院中のいろいろな検査の結果、エリテマトーデスに起因する多発性神経炎と診断されました。強度の神経痛症状もあったため、(※注)ステロイドパルス療法を2週間に渡り施行しました。症状が落ち着いた頃からベッドサイドでのリハビリを開始、徐々にリハビリ室へ移行し本格的なリハビリが始まりました。歩行困難のため補装具を作成し、歩行器を使った歩行訓練の他、筋力トレーニングやマッサージ、電気治療等を行いました。リハビリスタッフの皆さんが笑顔で「今日もがんばりましょう」との声掛けに励まされ、毎日楽しくリハビリを行うことが出来ました。
入院から1か月後にはリハビリ専門の病院へ転院し「早く歩きたい」との一心で更にリハビリに取り組みました。理学療法士さんや作業療法士さんの指導の下、前の病院と同じような内容で1日8時間のリハビリを一生懸命に続けました。リハビリに毎日取り組んだ成果もあり、歩行器使用の状態から杖一本での歩行が出来るようになりました。足の感覚も毎日チェックするたびに戻っていることに感動すら覚えました。
私はお年寄りが好きなことも有り、同じ病院で入院中の先輩方に励まされてもいたので、食事の世話をしたり、ゲームや手作り作業等を一緒にすることで、少し気を紛らわせていた様な気がします。性格としては、いつも前向きに考えるのは良いところですが、負けず嫌いで何事も自分の考えだけで決めてしまうところがあり、お医者さんを困らせたことも有ります。
今でも忘れられないことは、ある日とても信頼している先生から「毎日、足に感謝しなさい。」という言葉でした。それから朝になると足を摩りながら「今日もよろしくお願いします。」一日が終わると「今日も一日ありがとうございました。」と感謝の気持ちを伝えることが出来ました。
入院から3 か月目に入った頃からは自主トレーニングだけの日々が続き、「そろそろ退院してもいい頃かな」と考えていました。私自身は「装具を使用しての歩行でも良いので退院したい」という希望を強く持っていて、そのことを伝えたところ数日後、退院の許可をいただきました。
退院後1か月間はリハビリも兼ねて、補装具をつけながら仕事に復帰しました。復帰当初は、仕事が終るころには疲れ果てて大変でした。職場のスタッフの皆さんに迷惑を掛けないよう、今まで休んだ分を取り戻せるよう自分なりに頑張りました。職場の皆さんは喜んで、そして優しい笑顔で迎え入れてくれました。
身体が辛くなった時には、休憩を取ったりしながらも仕事を続けることが出来、本当に良かったと思います。時には仕事の後の疲れから、眠気がして職場の駐車場で1時間くらい寝てから帰ったこともあります。それでも1か月が過ぎた頃にはだいぶ体調も戻り、普通に仕事に就くことが出来ました。職場の皆さんの手厚いサポートをいただきながら、頑張り通すことが出来ました。
家庭でも子供たちに協力してもらいながら家事をこなせ「お母さん思ったより早く良くなったね」と言われ、とても嬉しかったです。それから退院して暫く後に職場の上司から聞かされたのは「これから先、彼女はもう自力で歩くことも出来なくなり、車いす生活になるだろう。」と病院側から伝えられたとの話でした。そのことを後で聞いて私が思ったことは「やったー!」でした。病院の予想を見事裏切ったんですから。
今もまだ足底部のしびれと痛みは残っていますが、回復するのも早く、補装具を使用しないで自力で歩いて仕事をしています。もし私のような症状で悩んでいる方がいれば「病は気からです。誰が何と言おうと気で治してください。」これが私の体験からの思いです。
現在は特発性大腿骨頭壊死症も発症し、半年ほど前から仕事は休んでいますが、二人の孫が遊びに来ることを心待ちにして、いつも笑顔を忘れないようにして日々楽しく過ごしています。
早田 淳子(はやた じゅんこ)さん
1959年 金武町生まれ
【趣味】洋裁
【挑戦したいこ】富士山の頂上まで登ってみたい。
【最近の楽しみ】孫と遊ぶこと
【好きなスポーツ】バレーボール
【好きな音楽】B’Z、ビートルズの歌
【好きな動物】犬と猫
普段の外来では診療時間も限られ、ゆっくりと主治医の先生とお話しをすることが難しく、心配なことがあってもつい聞きそびれてしまう事が往々にしてあります。また自身の病状について他の先生の意見も聞いてみたい、というご希望がおありの方が少なからずいらっしゃいます。アンビシャスでは毎年そのような方の不安を少しでも解消する目的で、いくつかの疾患ごとに専門医のご協力を頂き「医療相談会」を行っています。
10月11日に国立病院機構沖縄病院の渡嘉敷崇先生のご協力を頂き神経系疾患、10月13日に琉球大学附属病院の當間裕一郎先生のご協力を頂き循環器系疾患の医療相談会を実施致しました。アンビシャスで行っている医療相談会は、主治医からの紹介状などは必要なく、無料でお一人30分じっくりとご相談が出来ます。しかし30分あるとはいえ限られた時間を有効に活かすため、相談したい内容を整理して頂く事と、日々の検査結果やお薬手帳、臨床調査個人票をご持参して頂いております。
医療相談会に参加された方からは、「他の医師のお話しを聞くことが出来て良かった。主治医の先生にしっかりと症状を伝え、話し合う場を設けてもらうようにお願いしてみたいと思う。」「リハビリについての情報を得ることが出来てよかった。主治医と相談してみようと思う。」と話されていました。
12月には、消化器系疾患、下垂体系疾患、肝臓系疾患の開催を予定しております。医療相談会をご希望の方は、アンビシャスまでご連絡ください。
10月17日メガネ一番様より、創業32周年記念チャリティゴルフコンペの収益金と、県内21店舗のお客様より寄せられた募金より40万円近くのご寄附を頂戴しました。
メガネ一番様には平成22年より毎年創業祭に合わせこの様な多額のご支援をいただいてきました。10年間の累計で実に372万円余りのご寄附を頂戴しています。
メガネ一番様、並びにチャリティーコンペを通じご支援をいただいた皆様のご厚志に深く感謝申し上げます。私共はこのご厚情に対し、難病支援活動を更に充実させることでお応えして参りたいと決意を新たにしています。
臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)
話を聴く際に、継続して話を聴いていくことのメリットと注意点について考えることは、ピアサポートでもカウンセリングでも日常での話をする場面においても必要なことです。
1回では話しきらないことを聴くことができることや、相談するひとの成長や変化の様子を見ることができることも、継続して話を傾聴するメリットでもあります。話を聴く中で、継続して何回か話を重ねていくと、そのひとの状況が理解しやすくなります。
ピアサポートやカウンセリングでは、実際に見ていないことから推察して話を聴いているために、想像するしかありません。現実にそれがどのような状況であるかわからないため、語るひと自身が感じた内容を一生懸命に聴くしかないのです。それがそのひとの人生にお付き合いする心理臨床を志す者の独自性でもあります。
もちろん、実際の場面を見ていることでわかることは多いため、一緒に体験したり経験したりしているところで話を聴く強みは、そのひとの語りを状況とともに知ることができることです。ただし、話を聴く者が、語りに巻き込まれやすいので、ほんとうはそのひとの問題なのに、話を傾聴するひとが問題を引き受けすぎて、辛くなってしまったり、身体症状として反応を出してしまったりすることに注意をしておくことが必要です。
相談を受けることは、相手の人生と自分の人生とが絡み合うことですが、相手の話を傾聴しつつ、巻き込まれ過ぎないようにこころを配ることが必要です。
また、語るひとに現実との解離状態を維持させてしまうことが注意点として挙げられます。相手の心的現実にも共感しつつ、現実の状況についても意識を向けながら、話を傾聴することがたいせつです。
著:照喜名通
10月31日首里城が焼失しました。沖縄の象徴であり誇りでもありました。アンビシャスは2002年に設立した時から一般公募の抽選で首里城公園内の出店権利を獲得し、難病患者の就労支援の一環として活用、現在は2名の難病の方が働いています。またその収益をアンビシャスの運営にも充てています。首里城焼失による喪失感は深く、またそこで働くスタッフの生活基盤が失われる不安にも飲み込まれました。
この様な深い悲しみと不安を抱えながらも精神的に乗り越えていかなければなりません。その過程を「グリーフワーク」という手法で支えていくことがあります。大切な家族など身近な人を亡くした時に、その悲しみを我慢したり乗り越えようと頑張るのではなく、その深い悲しみに寄り添い、同じ境遇の遺族同士が共有する取り組みです。交通事故、災害被災者などでも必要ですが、難病の患者会においても必要な取り組みです。大切なのは遺族も周りも、その深い悲しみからくる感情を否定したり、抑え込まないようにすることです。
首里城焼失は死傷者も無く不幸中の幸いでした。多額の費用が掛かるとはいえ首里城は再建できますが、人の心はそうはいきません。周りに深い悲しみをもっている人を見かけたら、その人の物語を聴いてあげてください。
慶応義塾大学看護医療学部 教授 加藤 眞三著
前号では、仲間を支えるためには、共感しようとする傾聴が大切であることを述べました。その時に、生じてくるのが秘密の厳守の問題です。個人のプライバシーに関わる深い内容を聴くときには、その情報を他の人に漏らしてはならないのです。
医療の世界ではこのことは古くから戒められてきたことです。紀元前4世紀頃に活躍したヒポクラテスの言葉を弟子が編纂したといわれる「ヒポクラテスの誓い」の中には、「医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る」と書かれています。
患者さんの個人の秘密を守ることで、医師は市民からの信頼を得ることができ、病者が医師に安心して相談ができることになると考えられたからです。
このことは近代から現代の医学において医師の守秘義務として教え伝えられ、医師の倫理の大きな柱でした。現在では、これは倫理的な問題というだけではなく、法律上の問題として採り上げられ、わが国の刑法では医療など専門職につくものの義務として守秘義務が課せられているのです。
刑法第134条
1.医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあったが、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
このように守秘義務が課せられた医療職は、患者さんとの間で交わされた情報を本人の同意なく漏らしてはいけません。ピアサポーターが医療機関内で活躍する時代がきたとしても、もしピアサポーターから秘密が漏洩してしまうと、医療機関における守秘義務が破られることになり、医療者にとって重大な問題が生じるのです。
このような理由があり、医療者はどうしても非医療者が医療機関内に入り込むことに対して慎重にならざるをえない面があります。病院のボランティアは花をいけたり絵を飾ってもよいけれど、患者と会話をしてはいけないという内規をつくっている医療機関もある程なのです。ピアサポーターも医療機関の中で働くことになると、当然守秘義務が課せられることになるのです。
さて、このようなプライバシーの保護の問題だけではなく、最近では個人情報の保護の問題が頻繁にとりあげられ、個人情報保護法が2003年につくられました。この保護法では、5001人以上の個人情報を利用する事業者が対象となっていたのですが、2017年5月30日に施行される改正法からは、より厳しくなり個人情報を扱うすべての事業者、中小企業や個人事業主、町内会・自治会、学校の同窓会なども、個人情報を取り扱う際のルールが義務づけられることになったのです。つまり、患者会の内部で取り扱うことになる個人情報にも適応されることになったのです。医療機関内での活動時だけでなく、内部でも気をつけなければならなくないのです。
個人に関する情報の中でも、人種、信条、病歴など不当な差別・偏見が生じる可能性がある個人情報は、「要配慮個人情報」として、その取扱いについて特別な規定が設けられました。したがって、患者相談などで得た個人情報も適正に管理することが求められます。個人情報とは、どんなものを指すのかなどの詳しい内容は、「政府広報オンライン」の「暮らしに役立つ情報」の2018年3月23日の記事を参照してください。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201703/1.html
東洋経済オンラインに加藤先生による「市民のための患者学」2週間ごとの連載スタート!
http://toyokeizai.net/articles/-/143366
加藤先生の最新書籍がこの冬発売!(2019年12月4日発売予定)
肝臓専門医が教える病気になる飲み方、ならない飲み方
出版社: ビジネス社
10月27日(日)、沖縄県総合福祉センターの小規模団体室にてギラン・バレー症候群(GBS)の患者交流会を開催しました。今回の交流会には東京のギラン・バレー症候群 患者の会代表の上田肇さん、アンビシャスの照喜名さんにも応援参加していただき、非常に有益なアドバイス等をいただき、とても楽しい時間と情報共有ができました。
今回参加されたうるま市の方は20年前にGBSを体験し、それ以来その経験を生かして同じ病気で苦しんでいる人の力になりたいとずっと思っていたとのことで、今後この交流会がますます楽しみになってきました。また最近GBSを経験しリハビリ中の浦添の方は「新たな発見とまた頑張ろうと思える勇気を頂くことができました。次回も楽しみにしています。」とうれしいコメントをいただきました。交流会は毎月開催を予定しており、日時や場所はその時の参加希望者の数や居住地を見て決めています。
交流会の告知はLINE公式アカウント(http://nav.cx/fi71JOn)やFacebookイベントなどで行なっています。
沖縄県薬剤師会 吉田 典子
皆さんは、お薬を正しく飲んでいますか?お薬は、病気の症状を和らげたり、自然治癒力を高めたりすることで体を健康な状態に戻すという大切な働きがあります。このコーナーでは、お薬を上手に使うためのポイントをご紹介します。
◎『食間』とは、食事中に飲む事?
お薬を飲む時間は効果や安全性を考えて決められています。
『食前』は食事の20~30分前、『食後』は食事の後30分以内を指します。例えば、朝食と昼食の間の10時頃にお薬を飲む事を「食間に飲む」と言います。「食事の後の約2~3時間後にお薬を飲む」というのが『食間』のタイミングです。その頃は、食べた物が消化され、胃の中の食べ物がほぼなくなります。『食間』に飲むよう指示されたお薬は、空腹の時に吸収されやすいか、食事の影響を受けやすいお薬になります。漢方薬はその代表的なお薬です。安定した効果を得るためにも指示通りにお薬を飲むように心がけてください。
お薬について心配なことがあれば、ぜひ身近な薬剤師に聞いてくださいね。
皆さん「ありがとう」の反対語をご存知でしょうか。
私は、「ありがとう」の反対語を今まで考えたこともありませんでした。
調べてみたところ答えは「あたりまえ」でした。「ありがとう」は漢字で書くと「有難う」「有難(ありがた)し」という意味です。有ることが難しい、稀である。めったにない事にめぐりあう。すなわち、奇跡ということです。
奇跡の反対は、「当然」とか「当たり前」です。人々は、毎日起こる出来事を、当たり前だと思って過ごしています。目が見え、耳が聞こえ、手足が動くのが、あたりまえ。仕事ができることを、あたりまえ。毎朝目覚め、生きていることもあたりまえだと。誰しもが、今日と同じように、明日が繰り返されると思っています。
こんな当たり前だと思っていることが、本当は奇跡の連続なのです。
「あたりまえ」と考えがちな「ありがたい」に気付き、感謝する気持ちを忘れずに、「あたりまえ」である命の終わりが来る時まで、一日一日一生懸命に生きることが大切です。
「くるみ割り人形と秘密の王国」
2018年の本作は、爆発的ヒット作「ボヘミアン・ラプソディ」と同時期に公開されたディズニー作品である。
「この卵の中には貴方が必要とするもの全てが入っています」と、亡き母からの手紙と、花の国、雪の国、お菓子の国、第4の国の4つの王国の世界へと足を踏み入れるファンタジー映画であり、ヘレン・ミレンやモーガン・フリーマンが脇を固め、安定して楽しめる。
★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
・・・カラーセラピーやパワーストーンも好きで、時々、ネットで見てます。
一年が過ぎるのは早いもので、いつの間にか12月に入り南国沖縄とはいえ、さすがに朝夕の空気が冷たく感じられるようになってきました。インフルエンザが流行る時期です、手洗いにうがいをお忘れなく。
さて今月の表紙は原発性胆汁性胆管炎と全身性エリテマトーデスの早田さんに入院生活からリハビリの過程を語って頂きました。医師に自力歩行は困難といわれながらも持ち前の「負けん気」と「前向きな気持ち」でリハビリに取り組んだ結果、装具なしで自らの足で歩き、職場復帰を果たした様子に感銘を受けました。すべてが精神力で直せるとは思いませんが、常に希望を持ち強い心でいる事は重要なことだと改めて思いました。
話は変わりますが、今月号より新コーナー「今月のおくすり箱」がスタートしました。沖縄県薬剤師会の吉田さんに日常のお薬の豆知識を紹介していただきます。是非お目を通して頂きたいと思います。
文 仲村明
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