最終更新日:2021年09月01日
岸本 隆一(きしもと りゅういち)さん
潰瘍性大腸炎
A. 去年(2020年)の2月の終わり頃から下痢が続き、次第に回数も多くなってきていましたが、シーズン中でもあったので、病気とは考えずストスからくる一過性のものと深刻には捉えていませんでした。
しかしこの状態が2週間以上続き血便も伴うようになり、血便による貧血から頭痛にも悩まされ、不安になってきました。また頭痛でイライラ募り、ほんの些細なことで妻に当たりちらすようになりました。
丁度その頃、新型コロナウイルスの感染拡大によりその年の3月末にシーズンが中断されたことで、病院を受診する時間と気持ちの余裕ができました。そして4月上旬、難病の「潰瘍性大腸炎」と診断され入院しましたが、10日間ほどで無事退院しました。
その頃に担当医から「もしコロナによる中断が無くシーズンが続いていたら、無理してプレーを続け重症化していたかもしれないね」とよく言われました。ある意味、運が良かったといえます。
A. 当初、難病の潰瘍性大腸炎と言われてもどこか他人事で「いつか治るんでしょう」くらいに考え、あまり深刻には捉えていませんでした。しかし診断後、先生から病気の詳しい説明や生活のしかた等を、時間をかけ教えて頂くうちに、「これは自分が思っていたものと違う」と気づきました。
A. 今になって当時の心境を振り返ると、自分の置かれている状況を理解するのに、まる一日かかりました。このまま選手生活を続ける事が出来るのか、家族やこれからの生活を考えると絶望感に陥りました。しかしその後、同じ病いでもスポーツ界で活躍している方が何名もいることを知り、病気の事を知るにつれ、希望も沢山あることに気がつきました。
チームトレーナーを交えた話し合いの中で、担当医から「症状が一定レベルまで改善されればプレイに支障はないと思います。」と言われたことも、プロバスケット選手としてプレイする大きな後押しになりました。
生活面では、特に食事に気をつけ、腸に負担の少ないものを選んで食べています。食材選びから調理法まで妻にはだいぶ苦労をかけています。また、ついストレスからキツイことを言ったりしますが、妻がしっかり受け止めてくれ、メンタル面でかなり助けてもらっています。普段あまり口には出していませんが、とても感謝しています。
A. 病気になったことで気づいたことは沢山あります。自分にとって何が大事なことなのか改めて感じたことも多くあります。症状が改善したから言える事かもしれませんが、発症前には考えもしなかった、自分にとっての大事なことを考えるきっかけになったと思います。
また難病である私を選手として受け入れて頂いた球団やチームスタッフ、チームメイトのサポートは大きく、いつも気にかけてもらい、とても感謝しています。良いプレーをすることで少しでも恩返しできればと思っています。
私より問題を抱えている方は多いと思いますが、私の場合は、病気である現状を受け入れることで割と楽になれました。「以前はこんなことが出来たのに」と思うとキリがないのですが、今の状況を受け入れ、自分は何が出来るのか、何をすることが自分にとって幸せなのか、といった自身の気持ちを少しづつ整理していくことで病気との向き合い方や付き合い方がとても楽になりました。皆さんにも悲観的にならず前に向かって生きて欲しいと思います。
綺麗ごとでなく、今まで見えなかったことや気づかなかったことが、私もこの病気を発症して分かるようになり、説得力を持って話すことが出来るようになりました。「病気で何かを失った」のではなく、病気をきっかけに気づくこと・できる事が沢山あるはずですので、今の自分を受け入れ、前に進んで欲しいと思います。またそうすることで他の方へ希望を与える事が出来ると思います。
実際、私がこのように思う事がプロとしてプレイを続ける理由の一つでもあります。
むしろ病気になってからの方が出来る事が増えたと思いますし、充実した生活を送れています。私がプロのバスケット選手としてプレイし続ける事で、いろんな障がいを抱えている方々が一歩でも前に進むきっかけになればとても嬉しいです。これからも全力で病気に立ち向かっていきます。
A. バスケットを始めたのは子供の頃、兄がバスケットをやっていて自然にバスケットに親しんでいました。小さい頃からずっーとバスケットをしてきたので、将来もバスケットに関わる仕事をしたいと思います。
そしてこれは夢といっていいかどうか怪しいのですが(笑)、大食いをしてみたいですね。普段は食事も制限され食べたいものも控えていますが、時にはリミットを取っ払って思いっきり食べてみたいです。あとで大変なことになるかもしれませんが…。自分を責めずに、それも受け入れながら、一日くらいそんなことがあってもいいかな。
岸本 隆一(きしもと りゅういち)さん
1990年名護市生まれ。兄の影響でバスケットをはじめる。
県立北中城高等学校、大東文化大学を経て、2013年1月にプロバスケットボールbjリーグ(現Bリーグ)「琉球ゴールデンキングス」に入団。キングス生え抜きの主力選手で2015年から4季主将を務める。
2020年4月上旬、難病認定「潰瘍性大腸炎」と診断されるが、2021-2022シーズンも『琉球ゴールデンキングス』でプレーすることが決まった。
福岡看護大学よりセンター長の照喜名へゲストスピーカーとして講義依頼があり、2年生(2クラス約80名)を対象に7月2日(金)「慢性疾患をもちながら自分らしく生きる支援」という演題でzoomを使用してオンラインで講義をさせていただきました。
今回の講義に先立ち生徒たちには、『もしあなたが潰瘍性大腸炎になったらどのような生活の変更があると考えられるか、病気に伴い生活様式の変更を余儀なくされた場合、どんな社会資源の活用があるのか』という設問を用意し、事前に調べてもらい、加えて『あなたが潰瘍性大腸炎になったと仮定して、就労についてどう考え、どのようなことに支障がでると予想されるか』。という3つの視点から学修を終えた上での講義依頼でした。
クローン病罹患者である照喜名の、難病相談員としての経験や当事者としての経験から、疾患の正しい理解と治療、そして自分らしく夢や希望を諦めない、諦めさせない支援が必要といった内容の講義をおこないました。
受講した生徒さんからは、相談を受ける時の傾聴の姿勢や、難病を抱え生活する先生の苦しみや生きがいなどの話が聞けて勉強になりました。等の感想をいただきました。
アンビシャスでは毎年、看護専門学校の学生実習を受け入れておりますが、昨年度は新型コロナの感染リスクを避けるためほとんどの実習が中止となりました。
今年度は感染対策を十分行ったうえで7月27日(火)に対面での実習を予定していましたが、緊急事態宣言の延長や感染者数が急激に増加したこともあり、実習日の直前に看護実習としては初めてのオンラインによる実習に変更して開催しました。
実習では、患者さんと接する際に重要となる「傾聴・共感」に重点を置き、相談を受ける際の姿勢を学んでもらうために、ロールプレイを取り入れています。
はじめに相談員として聞くポイント(表情や態度など)を学び、それを踏まえてロールプレイ入ります。
はじめこそ硬さもありながらのロールプレイでしたが、うまく相談役と相談員役、観察者になり一人10分の制限時間で参加型授業をおこなうことが出来ました。
実習生の皆さんの表情からは「重い相談に共感しよう」、「もっと相談者さんのことを知ろう」と、相手に寄り添う積極的な姿勢が伺えました。
臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)
私たちは、普段、自分がどのように行動するかについて考える時に、「一般的には○○である」という視点で情報を収集し、その収集した情報に基づいて決定をしています。どうしても人間は、曖昧な状態のまま長い時間過ごすことが難しい存在ですので、何か明確に示されるものや簡単に答えを与えてくれるものの情報を信じてしまいやすい傾向があります。しかし、難病やその他の基礎疾患をもって生きている場合には、「一般的に○○である」という視点によって収集した情報は、役に立たなかったり、むしろ有害な結果を引き起こしたりすることがあります。
本来、人間はすべて固有な存在であるにもかかわらず、なぜか画一化され、「普通」が良いこととされ、「人並み」になることを要求されながら生活してきました。では「普通」や「人並み」とは一体何でしょうか。「普通」や「人並み」とは、大多数の人の意見を取り入れたもの、あるいは思い込みやステレオタイプです。
そして、「難病」という言葉やイメージがもっているステレオタイプもあります。必要以上に不安になったりおびえたりすることは避けたいものですが、自分の身体に関することについては、世の中に流布している情報を過信して、一様に自分に当てはめるのではなく、主治医や専門家とよく相談をして、医学的に根拠があり、かつ自分の病気や症状に合致する情報を選び取るよう意識しましょう。「普通」に合わせることも無難に生きるためには必要ですが、時には自分の気持ちについても、「他の人はもしかするとこう感じるかもしれないけれど、わたしはこう感じる」と何となく思うことを、なかったことにしないで、判断をしていただきたいと思います。
著:照喜名通
鬼滅の刃、呪術廻戦となんだか怖い印象の内容がアニメ界では大流行しています。では呪いとか呪文は、ただの迷信なのでしょうか。どうやらそうでもなさそうです。
誰かのことを不幸になるように願い、言葉や文字にすることで呪いをかけます。昔はわら人形に五寸釘でしたが、現代の呪いはSNSによる誹謗中傷という呪文です。Aさんが書きこんだ内容にBさんが「イイネ」をすると、瞬く間に呪文が増幅されてしまいます。99名が良いと賛同しても、1名が悪い反応をすると、心に傷が残るものです。
朝のテレビの占いは電波呪文です。「今日は外出すると良くないことがおきるので、気を付けて」なんて、テレビで呪文をかけられると、まったく信じていないのに頭のどこかに残っていて無意識にブレーキをかけてしまいます。
新薬の治験では、本物と偽薬を投与します。偽薬をプラセボ(プラシーボ)と言います。不思議なもので人は「これは凄い新薬です」と言われると、中身が全く効用のない砂糖であったとしても病気が改善する人がいるようです。逆にノセボ(ノーシーボ)というのもあって、悪くなると言わると、ほんとに悪くなる人がいるから驚きます。良きように祈るおまじないは、お呪いと書きます。どうせなら呪いではなく、祝いにしたいものです。
来月は、どうやって呪いから身を守るかをつぶやきたいです。
慶應義塾大学 名誉教授 加藤 眞三著
毎年増大する医療費を抑制し効率的に使うためにジェネリック医薬品の使用が必要だと考えられ、先発医薬品からジェネリック医薬品への変更の推進が厚労省により強力にすすめられてきました。わたしも、それは経費を節約する上で必要なことであろうと考えてきました。
ところが、昨年末からジェネリック医薬品メーカーの不祥事が続いており、ジェネリック医薬品の信頼が脅かされているのです。「ジェネリック薬で大丈夫ですか」と患者さんから質問されても、医師として自信をもって回答できなくなっています。一体どうすればよいのでしょうか?
ジェネリック薬では、実際にどんな問題が生じているのか、公表されている小林化工と日医工の事故調査報告書から、その概要をみてみましょう。
1 他の薬剤が混入してしまった。
小林化工の抗真菌薬には睡眠導入剤が混入していたため、意識消失や交通事故も起きてしまっていました。製造工程で原料を取り違えて製剤されていたためです。結果として一錠にリルマザホンが約5mg含まれていたのです。
イトラコナゾール50mg錠は最大一日量として8錠(400mg)服用することがあり、リルマザホンを40mgも服用してしまう可能性があったことになります。リルマザホン(リスミー)は一日最大量が2mgであるため、一錠飲むだけでその2.5倍量を、一日量を飲むと20倍量にも相当する睡眠剤を飲んでしまうことになるのです。2人の死亡、20件以上の交通事故が起きたのは当然の帰結だったのです。
2 製造工程が守られていない。
小林化工の製造工程の承認書と現場フローの記載では、加える原料となる薬の量が異なっており、しかも工程途中で10%が秘密裏に廃棄処分されていたのです。日医工でも同様に製造工程が遵守されていませんでした。
3 出荷試験で規格外試験結果の管理がずさんである。
日医工では、試験に不適合であった製品を企画書に従わず、再試験や再加工していました。小林化工のイトラコナゾール錠も出荷前の品質管理部のチェックで混入を見落とされていました。
医薬品の製造や品質の管理は命に関わる問題ですから、今回のような事件が起きないように、世界的にGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理の基準)が整備されていました。「医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキーム(PIC/S)」で採用されたGMPガイドラインが世界標準となっています。2014年7月には、日本もPIC/Sに加盟し、PIC/SのGMPガイドラインに対する考え方に基づいてGMP省令が整備されていたのです。
医薬品を市場へ出荷することは医薬品医療機器等法で規制され、厚生労働大臣の許可・承認を得る必要があります。そして、厚生労働大臣から許可を受けた医薬品の製造業者は、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GMP省令)」を遵守しなければならないのです。
ところが、今回の事件で明らかになったことは、製造工程でも品質チェックの面でも、長年にわたって省令が遵守されていなかったことです。昔は、日本製品は安全・安心だなどとのんきなことを言っていたのですが、原発事故の処理をはじめとし、最近の三菱電機の事件など不透明な事件が頻発しており、日本の安全・安心そのものの信頼がゆらいでいます。大変深刻な問題だと思います。(次号に続く)
東洋経済オンラインに加藤先生による「市民のための患者学」連載配信中!
http://toyokeizai.net/articles/-/143366
加藤先生の最新書籍:肝臓専門医が教える病気になる飲み方、ならない飲み方
出版社:ビジネス社
アンビシャスでは毎月第3火曜日にハローワーク那覇の「難病患者就職サポーター」をお招きし、難病就職相談会を開催しています。
アンビシャス事務所での開催のため、紹介状の発行や実際の求人検索などは出来ませんが、お一人あたり1時間ゆっくりと難病患者就職サポーターの方とお話することができます。
これから就職活動をする上で使える制度や支援についての情報提供や、病気の開示・非開示のメリット・デメリットについて、実例を交えながら話を聞くことが出来ます。いますぐ就職活動をスタートしようと思っている方だけなく、今後体調を見ながら就職活動を開始しようと思っている方にもご参加いただけます。
就労をお考えの方がいましたら、この機会に相談をしてみませんか。
【対象】
・難病をお持ちの方
・難病をお持ちの方を雇用されている又は雇用を検討されている事業主の方
・就労に関する悩みや疑問
など、就職に関してお悩みの方はアンビシャスまでお気軽にご相談ください。
沖縄県薬剤師会 吉田 典子
「ワクチン接種後にもし熱が出たらアセトアミノフェンという薬を薬局で買うように言われましたが、ドラッグストアでは、タイレノールAという名前の薬を勧められました。2つは同じ薬ですか?」等、新型コロナワクチンの副反応に対するアセトアミノフェンの使用についてのお問い合わせが多くなりました。実のところ、薬には一般名、商品名と二通りの名前があります。一般名とは、薬の有効成分のこと、商品名とは製薬会社がつけた名前です。アセトアミノフェンを成分とする市販の薬には、タイレノールA以外にも、ノーシンAc、バファリンルナJ、ポパドンA、ラックル等があります。
ワクチン接種後の発熱や強い痛みなどに使用される解熱鎮痛薬としては、厚生労働省よりアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェン等の薬が示されていますが、これらはすべて一般名です。
一般名で薬を探せない場合や、持病があり不安がある人はお気軽に薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
私が人工呼吸器を装着して、4年半が過ぎました。 人工呼吸器を装着した私が、自宅で生活するためには、訪問介護事業所のヘルパーに喀痰吸引研修を受けてもらうことが必要で、その資格証明書が事業所に届くまで6ヶ月もかかりました。
その間にトラブルがあり、1ヶ月半ほど喀痰吸引研修がストップしていたこともありますが、だいぶ長かったことを記憶しています。ですが、そのおかげで自宅へ戻ることが出来て、安心して生活を送ることができています。
実は、家族に対しては、喀痰吸引研修などのような物はなく、実技のみを担当看護師から1~3回習うだけでOKなのです。
夫は、家族だからと言って余りにも雑で横暴ではないかと言っております。 まあ確かにそう言われると、何の知識のない人に対して座学も無しに実技指導だけで大丈夫だなんて思えませんよね。
喀痰吸引研修とまではいかなくても、一日研修【午前/座学、午後/実技】を義務付けるようにした方が患者本人や家族が安心して生活を送ることが出来るのではないかと思います。
1)ROOKIES(ルーキーズ)
TBS系列の全11話
2)映画、ROOKIES~卒業~
2008年4月から放送され、当時は見ずにきましたが、今回見てみると、13年前とも感じさせない面白さ。高校野球を題材にした漫画の実写版。不祥事から這い上がる仲間たちの青春ドラマ。
GReeeeNの歌う主題歌「キセキ」は大ヒットし、出演は佐藤隆太、市原隼人、城田優、中尾明慶、桐谷健太、そして佐藤健は、今や大スターとなっている。
★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
・・・カラーセラピーやパワーストーンも好きで、時々、ネットで見てます。
今月の『表紙は語る』は、プロバスケットボールBリーグ「琉球ゴールデンキングス」の岸本 隆一さんに潰瘍性大腸炎と診断された後のご心境を語っていただきました。潰瘍性大腸炎と診断された当初は混乱もあったようですが、同じ病でもスポーツ界で活躍する多くの方がいる事を知り、選手生活を続ける自信になったとの事です。またプレーヤーとして活躍することが、他の難病の皆様の励みになり、一歩前に踏み出すきっかけになるのであれば嬉しいと、現状を受け入れつつも病気に立ち向かっている様子を語っていただきました。
そして、当誌面の9頁「今月のおくすり箱」ではコロナワクチン接種後の発熱等に対応する解熱鎮痛剤の記事がありますので参考にしていただけますと幸いです。
全国的に感染拡大が続き未だに先の見えないコロナ禍、より感染力の強いデルタ株にラムダ株なども加わり先が見通しづらいのですが、明けない夜は無いと信じ、今できる感染対策をしっかり行いこの難局を乗り切っていきましょう。
文 仲村明
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