1. 難病情報誌 アンビシャス 264号

難病情報誌 アンビシャス 264号

最終更新日:2024年05月02日

表紙は語る

ピアサポートを通じて社会貢献を目指す

嵩元のり子(たけもと のりこ)さん
進行性核上性麻痺の母の長女として

 私は、患者遺族として今回投稿の機会を頂きました。母が他界して約7年が経ちこれ迄の経過の振り返りを記していきます。
 当方の母は特に大病無く70代前半まで過ごしておりましたが、後期高齢者になる頃から膝や腰の不調を訴えるようになりました。近隣の整形外科を受診しリハビリ通院と、介護保険サービスを使い通所デイサービス利用を始めました。リハビリも頑張っていましたが、同じ送迎バスの利用者さん達は歩行が良くなっているのに、自分だけが全然上達しないと気にしておりました。転々とかかりつけの整形外科を変え画像検査を受け、膝の水を抜く処置やリハビリを続けましたが一向に歩行が改善せず、その後杖が必要な状態になりました。脳神経外科で異常なし、眼科では視力測定不可の軽度白内障有りと言われ(検眼後看護師から「お母さん大丈夫?ボケてない??」の言葉に絶句)「何故歩行が良くならないか?」という疑問に、どの整形外科医も明確に病状の説明をしませんでした。丁度介護保険の更新時期で、意見書をかかりつけ整形外科医に依頼した折「リハビリ続けても改善しないから、レビー小体型認知症がないですか?」と診察室で告げられ、診断できないからと紹介状を持たせても貰えず、主介護者の当方も途方に暮れました。担当のケアマネージャーさんへも相談し、神経内科の新規外来枠の診察へ連れて行きました。問診と視触診の15分位で「パーキンソン症候群の可能性があるので早速入院して精密検査が必要」と告げられた時は「やっと診断がついた」安堵と同時に「(当方は臨床検査技師なのに)何でもっと早く神経内科へ連れてこなかったのか」と後悔も痛感しました。
 その午後入院準備の為、翌日の年次休暇取得について職場人事課に電話で問い合わせると、担当の労務管理官から「付き添いの証明書を病院で発行して貰え、介護で仕事を休む様なら解雇させられるよ、この前の職場のミーティングで上官が説明していただろう!」と受話器越しに言い放たれた時は、やっと母親の病気の診断がついた安心感から一転、目の前が真っ暗になり崖から突き落とされる様な気持ちにさせられました。その頃、単身の当方は長女という事もあり、老健施設に認知症で数年来寝たきりの父親とこの母親の、病院と介護保険の手続きや介助を一手に担い、勤め先では年休取得を制限され長時間労働を強いられるパワーハラスメントが常態化し、体力精神力ともギリギリの状態でした(当時事業所は未だ育児介護休業法の適応外)。この後1年半程、仕事と両親付き添いをして世話を続けましたが、腹痛、下痢が出始め、勤め先保健師の助言で心療内科を受診。「適応障害」の診断で約2年間休職し、現在まで通院投薬治療受けています。現行の介護休業法でも勤労者にとっては就業との両立は不十分です。介護離職を防ぐなら、もっと取得し易く改善を求めます。 
 その後、病気の説明があると、診察室で本人と私、母方の叔母夫婦が立ち合い、病名は「進行性核上性麻痺」、治療方法や特効薬の無い難病である事、病期は中期になっている事を告知されました。検査技師の自分も初めて聞く病名に驚き、母方の叔母夫婦は難しい病名に困った様子で、病室に戻り横になった母は目を閉じ涙を流し、私は何も言わず手を握ったまま何も言えず面会時間終了まで腰掛けていました。自分が塞いでも仕方ないと、公的負担制度利用申請で保健所に行ったり、それ迄両親の世話に無関心だった長男である弟にも「親孝行のつもりで」と積極的に関わらせる様、叔父叔母に願い出たり、母の旧友達に面会をお願いしたりと出来る事をしました。「のぞみの会」という全国組織の患者家族会をネット検索で見つけたのがこの頃。母の病状は薬効も有り一時単独歩行も出来ましたが直ぐに歩行不安定から車いす利用者になりました。病院退院後は在宅療養では無理だろうと入所施設を探す事になり、丁度新規開所施設へ2012年に入所しました。
 母の胃ろう造設手術の日、父は亡くなりましたが、葬儀法要まで弟と手分けして無事済ませることができ、また、母のホームでの付き添いも、弟が介護休業を取得して行うことができましたので、良い親孝行になったと思います。病院への定期受診も亡くなる直前まで行い、入所生活も手厚い介護のお陰で当人にも家族にとっても大変有意義でした。母は入所から満5年後の2017年7月に他界しました。
 介護からも離れ、保護犬猫ボランティアに参加する様になり、暫く経った去年3月中頃、当方が転倒し、足首を骨折して手術後の自宅療養中、手付かずの両親の遺品整理をしていると、母の入所中の写真やお便りが出てきました。母を見送って10年近く経ち、両親の介護には「あれもこれも足りなかった」と後悔ばかりで忘れようと努めていた所「振り返り」の作業となりました。当時の自分は、日々やり過ごすのに必死で、のぞみの会のメール内容も殆ど読まず、会郵送物を施設や保健所へ資料として持っていくだけで、母の介護に活かせてはいませんでした。数年前の会の法人化を機に、活発化に貢献できないかと考え、まずは県内の難病相談支援センターに問い合わせてみようと、アンビシャスへメール。照喜名さんとの面談にて「ピアサポート講座」を受講する機会に恵まれました。希少疾患だからこそ、患者家族に「寄り添う」存在が大切なのだと、主介護者だった当時にピアサポーターと話すことが出来ていたならどんなに精神的に安定しただろうと思います。現在県内で1人の会員なのだから、講座やアンビシャス相談員の方々の助言を伺いながら、家族会の立ち上げに行動しようと決めました。
 今年3月のアンビシャス主催RDD沖縄で、患者団体として登壇させて頂き、会場では対面でピアサポーター受講生や他の会の発表者、支える保健師の方々、RDD理事の方や個別面談希望者の方へもお話し出来ました。特にかかりつけ病院の難病相談支援室担当の方は、母の受け持ち看護師だったとの事で会場で声掛け下さり励ましの言葉を頂いて有難かったです。今回骨折入院し、患者としての立場を経験し、主介護者の経験からピアサポーターとしての患者団体立ち上げと、違った見方を学ぶ機会に恵まれ感謝しています。様々な立場の方々との交流を通して、少しでも患者・家族の助力になればと考えています。

語者プロフィール

嵩元のり子(たけもと のりこ)さん
1967年11月生まれ(島んちゅ)
【目標】本年度中の県内と福岡県での患者会交流会開催
【 夢 】人も動物も皆が幸せに暮らせる日常を
【特技】
・保護犬猫に童名(犬の太郎タルー、猫のナビイ、カニメガ等)を付ける事
・窮地になると「左喉※であるが」即興で唄とモーイモーイする
※「左(ひじゃい)喉(ぬーでぃー)」沖縄の方言でオンチを意味

  • 施設での誕生会

  • 当方33歳、父73歳、母72歳

  • ホーム入所

2024年3月の報告あれこれ

RDD2024 in 沖縄開催のご報告

 RDD2024 in 沖縄を3月2日に沖縄県総合福祉センターをメイン会場に、宮古サテライト、八重山サテライトとオンラインのハイブリッド形式で開催しました。メイン会場74名、宮古会場9名、八重山会場12名、オンライン参加18名と合計113名の参加がありました。
 RDDとはRare Disease Dayの略で日本語では「世界希少・難治性疾患の日」と訳されています。
 今年のテーマである「めぶく、であい。たっぷり、いっしょに。」に沿って、各患者団体や当事者、家族と共に、また難病を支援する関係機関と、たっぷり、いっしょに交流を図り、出会いを芽吹かせることを目的に実施しました。
 当日は各患者団体よりそれぞれの会の活動内容等の発表の他、関係機関からは制度のお話や、拠点病院についてや、難病患者就職サポーターについて、治療と仕事の両立支援、また、保健所の支援やITサポートについてお話しをしていただきました。
 参加者からは「難病と告知され気持ちの整理がつかず他の難病患者の話を聞きたかった。」「難病を持つ仲間との出会い情報交換がしたかった。」等の動機が聞かれ、当日は、各団体の発表や質疑応答、その後の交流会を通して、各患者会、当事者同士、関係機関とも顔の見える関係が築けたのではないかと思います。また、当日の感想として「県の担当者から直接話を聞く機会はこれまでほとんどなく有益な情報が得られた。」や「ハローワークに難病患者就職サポーターという担当者がいる事を初めて知った。」といった「保健所が身近な存在だと感じた。」等の声をいただきました。
 今回は宮古・八重山保健所のご協力をいただき、保健所をサテライト会場として実際に集まりの場を提供できたことは新しい形です。今後は、この出会いの芽を摘むことなく、更なる関係構築の機会を作っていけたらと考えております。次回5月に「難病の日」がありますので、またお会いできることを楽しみにしています。

AWWA(米国福祉事業協会)様の寄付よりポータブル電源を購入!

 262号でご案内のAWWA(米国福祉事業協会)様からのご寄付(200万円)でポータブル電源33台を購入しました。
 AWWA様では昨年夏の大型台風襲来による県内各地で長期間の停電による被害状況を目の当たりにして、人工呼吸器等の医療機器を使用する患者様の状況から電源確保の重要性を痛感されたとの事です。
 購入したポータブル電源はAWWA様のご意志に沿い、災害時の長時間停電に備えた貸出機として運用いたします。また運用にあたっては、宮古・八重山も含め広く県内各地で利用できるよう、貸出先を北部・中部・南部・宮古・石垣の5地区とアンビシャスの6か所で貸出します。
 中部地区は小児デイケア ToiToi 様、南部地区は小児訪問看護 KUKURU様を貸出し委託先としていますが、北部・宮古・八重山地区は3月末現在は未定となっています。台風シーズンを見据えてなるべく早めに関係団体と協議して決定したいと思います。
 尚、貸出の対象は原則、人工呼吸器等を装着する難病患者または小児慢性児を優先とします。また貸出期間は2週間以内としています。
 この件に関するご質問等があれば アンビシャス照喜名宛にご連絡ください。
電話:098-951-0567

アンビシャスメモ

保健所スケジュール

各保健所、5月の予定はございません。

【北部保健所】  Tel:0980-52-2704
【中部保健所】  Tel:098-938-9883
【南部保健所】  Tel:098-889-6945
【那覇市保健所】 Tel:098-853-7962
【宮古保健所】  Tel:0980-72-8447
【八重山保健所】 Tel:0980-82-3241

令和6年【7月開講】障害者委託訓練生募集

【募集期間:令和6年5月1日(水)~27日(月)】
【訓練期間:令和6年7月1日(月)~9月30日(月)】(3ヵ月間)

コース名:初心者から始めるパソコン科(知識・技能)
定員:10名
管轄校:浦添校
募集対象:身体障害(上肢・下肢)(車いす不可)、聴覚障害(口話ができる方)、内部障害、精神障害、発達障害、高次機脳障害、難病
訓練場所:那覇市
委託先:株式会社沖縄リレーションシップ

コース名:リネン類クリーニング科(実践)
定員:1名
管轄校:具志川校
募集対象:知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病
訓練場所:名護市
委託先:沖縄綿久寝具株式会社【名護工場】

※受講料無料(但し教科書代、保険料などは自己負担)
【申込方法】住所地のハローワーク
【お問合せ】
 浦添職業能力開発校TEL:098-879-2560
 具志川職業能力開発校 TEL:098-973-6680

5月23日は『難病の日』イベント参加者募集

 「難病の日」をご存じですか?
 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)は2014年5月23日「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立したことを記念して毎年5月23日を「難病の日」に登録されました。患者や家族の思いを多くの人に知ってもらう機会とすることが目的です。
 アンビシャスは、3月に「めぶく、であい。たっぷり、いっしょに。」をテーマにRDDイベントで芽吹いた出会いを大切に、そして成長させていくことも大切だと考えます。そこで、皆さまと一緒に、“まだ出会えていない方が困らないために役立つ難病のしおり"を作成できたらと、イベントを計画いたします。
 RDDイベントに参加されていない方も、参加された方も、5月23日に集い“あなたの想いや経験"を話してみませんか?!
 難病患者、家族、支援者が顔を合わせ、芽から花、実となり種となっていったらと期待します。

【日時】5月23日(木)14時~16時
【締切】5月13日(月)12時まで
【場所】沖縄県総合福祉センター401研修室 または オンライン(ZOOM)
【対象者】難病患者、家族、支援者
【問い合せ先】
沖縄県難病相談支援センター(認定NPO法人アンビシャス)
TEL:098-951-0567(平日10時~16時)
【申込みURL、二次元バーコード】
https://forms.gle/z1yV3CiVFZeBgKv56
QRコード

こころの現場から

専門家の特性も考慮して相談をする

鎌田依里

臨床心理士 鎌田 依里(かまだ えり)

 私たちは何か困ったことがあったり知らなかったことがあったりすると、知っているだろうと想定する人や専門家に相談をします。そして相談をして得た情報を参考にして自分の選択に活かします。確かに専門家はその分野についての知識は学んでおり、何らかの専門資格を有しているため、ある一定の知識を有していることは当然で、私たちは専門家に対して「その分野に事象に詳しい人」というステレオタイプをもっています。しかし「知識をもっている」ことと「その知識を相手のために親身になって活かそうという気持ち」とは全くの別物なのです。
 その専門家が被害的な物事の捉え方をする人であれば、被害的に捉えた見方も付随された助言や知識が伝えられることになります。またその専門家が双極性障害であれば、その人の気分によって助言内容が変わったり、0か100かという極端な選択肢を伝えられたり、突然相談が打ち切られたりします。専門家で親身になってくれる有能な人ばかりであればよいのですが、人間ですからそんなこともないのが現実です。「そんなことだったらAIの方が役に立つ」という考え方も出てくると思いますが、私たちは、意思決定を相手に任せたり相手に依存したりするのではなく、人間に相談をして対話しながら自分の気持ちを整理し「自分で」「自分の人生を」「決める」のです。
 抱えている病気が人生を大きく左右させるものだったり難病や合併症だったり難しければ難しいほど、相談をする場面は増えますが、最終的に決定するのは自分なのです。自分と相手の考え方の違いや価値観の違いも意識しながら相談をすることが「自分の人生を」「自分らしいものにする」ためには必要なのだと思います。

つぶやきチャンプルー

めいめいの命名

照喜名通

著:照喜名通

 人類は物や出来事に名前をつけることで、判別し、意味や使いかたなどを説明することで生活を円滑にしています。最近はキラキラネームといって人名を難しい漢字で表現して通常の読み方とは違う命名をして混乱することもあります。私の名前は「通」で(とおる)と読みます。これは、祖父の名前が「名通」(めいつう)でその一文字を頂きました。(とおる)でこの漢字が使われることがあまり無いため、すぐに読むことができず説明が必要です。これは現代の話ではありますが、調べてみると昔から沢山あったようです。伊達政宗の長女は、男の子が生まれると思い込んで五郎八(ごろはち)にしていたのを女の子が生まれた為に読み方を変えただけで(いろはひめ)と呼ばせたそうです。
 疾患名においては、発見した人の名前や症状、疾患部位、原因、病原体(感染源)の名前など様々です。例えば難病では、原発性胆汁性胆管炎(PBC)の過去の名称は原発性胆汁性肝硬変となっていましたが、診断時に軽症で肝硬変ではない人にも後者の名称を告げられ困惑することから改名されました。直近の指定難病では4月1日付けで5つの疾患名が変更になっています。「名は体を表す」と言われるような、分かりやすい疾患名が良いですね。

シリーズ 「患者学」第109回

医学的な正式病名を聞くことの大切さ

慶應義塾大学 名誉教授 加藤 眞三著

 病院での診断について医師から話されるとき、患者さんに分かりやすいようにと表現されることで、かえって病気がよく分からなくなることがあります。だから、正式の病名を聞くことが大切なのです。
 例えば、膵臓に腫瘍がみつかり、「膵臓に腫瘍ができています。それは膵臓がんだけれども悪性度はそれ程高くない。肝臓に転移が疑われる」と言われた時には「医学的に正式の病名は何になりますか?」と聞いてメモをして欲しいのです。あるいは、主治医にメモ用紙に書いてもらってもよいでしょう。

ジョブズ氏の死因は膵臓がん

 アップル社を創業したスティーブ・ジョブズ氏の死因は、2003年に発覚した膵臓がんですが、神経内分泌腫瘍というがんでした。

以下 Forbes Japanの記事より 2020.02.04

 ジョブズの死の大きな原因とされているのは、2003年に発覚した膵臓がん。進行が緩やかな神経内分泌腫瘍であり、早期に発見・手術すれば回復する症例が多い種類のがんだった。しかし、ジョブズは診断後の9カ月間、手術を拒否し続けた。結果、肝臓への転移などがんの悪化に繋がってしまった。
 手術を受けない間は、マクロビオティックや、スピリチュアリストに会いに行くことでがんを治そうとしていたという。
 マクロビオティックとは、玄米を主食とした無農薬・自然農法の穀物や野菜を中心とした食生活や思想法のこと。「陰陽調和」という東洋の伝統的な世界観に基づいており、マクロビオティックの祖は、日本人の桜沢如一という人物だと言われている。
 ジョブズは手術を受けない理由について「自分の体を切開されたくない」と主張していた。ジョブズは大学中退後にインドへ旅に出るなど、東洋思想の影響を大きく受けており、かねてから診断や治療が機械的である西洋の現代医学に疑問を持っていたのだという。
 妻や周囲の必死の説得もあり、04年、09年に手術を受けるも11年に膵臓がんが再発。11年に56歳の若さで亡くなった。晩年には、もっと早くに手術を受けるべきだったと後悔していたという。

 ジョブズ氏の死亡からは、次の様な点について考えさせられます。
①ジョブズ氏のような情報リテラシーに長けた聡明な人であっても手術を受ける時期についての判断を誤ってしまい、手術を遅らせてしまったことを後で悔やんでいることです。ジョブズ氏は多分正式の病名も知りしっかりと理解もしていたでしょう。それでも悔やむことになってしまったのです。
②ジョブズ氏のような聡明な人が、マクロビオティックスや禅に傾倒していたことです。科学技術の最先端にいながら、科学一辺倒ではなかったことです。

 話がやや脱線してしまいましたが、膵臓の神経内分泌腫瘍は、膵臓がんではありますが、膵臓腺がん程悪性度は高くありません。そして、肝臓などに転移もしても、転移後もゆっくり進行するため、膵臓腺がんとはまったく経過が違います。ですから、このような病気になったときに患者さんから相談を受けても、答え方が異なるのです。
 正式の病名さえ分かれば、医療者はそれに基づいて相談をうけることが可能です。また、現在は病名がわかれば、一般市民でもネット上で検索することでどんな病気かを調べることができます。ですから、診断名を聞くときには、しっかりと正式病名を書いたものをもらうか、メモをすることが大切なのです。

慶応義塾大学看護医療学部
名誉教授 加藤 眞三
慶應義塾大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所研究員。
患者と医療者の協働関係を作り上げることをテーマに公開講座「患者学」や著作 等を通じ、患者も自ら積極的に医療に参加する啓発活動に取り組む。

東洋経済オンラインに加藤先生による「市民のための患者学」連載配信中!
http://toyokeizai.net/articles/-/143366
加藤先生の最新書籍:肝臓専門医が教える病気になる飲み方、ならない飲み方
出版社:ビジネス社

患者団体からのお便り

沖縄県網膜色素変性症協会(JRPS沖縄)
総会並びにアイフェスタのご案内

 JRPS沖縄では第12回総会の開催に合わせ、病気についての正しい知識の普及と同時に、当事者・家族の交流を図るため、アイフェスタ並びに交流会、福祉機器展を実施します。
 視覚障がいのある人に、今よりももっと生活が便利になる個々に応じた日常生活用具や、グッズを知ることで、それらを活用し、より豊かで質の高い生活を送れるよう情報通信機器や日常生活用具に関する情報を提供し、視覚障がいのある人の自立促進に寄与することを目的としています。
 また今回ご講演をいただく石川さんは視覚障がいの当事者で、特に中途視覚障がい者の支援に従事しながらラジオのパーソナリティーとして視覚障がいへの啓発活動や、様々な当事者活動へ精力的に参加されています。
 この講演で人生をあきらめず、むしろこれまでよりも前向きに生きていくヒントが得られれば幸いです。

日時:5月19日(日)12:00~16:30
場所:浦添市産業振興センター・結の街 3階 大研修室
内容:
【1】第12回総会(12:45~13:30)※会員の皆様はご出席をお願いします。
【2】講演会 / (13:45~15:15)
 講師 / 社会福祉法人京都ライトハウス 石川 佳子先生
 演題 / 人と情報につながることからはじまる一歩へ~スーパーマンなんかじゃない、普通の私にできること~
【3】レクリエーション(15:30~16:30)みんなでレクを楽しみながら交流しましょう!!
【4】福祉機器展(12時から12時45分※註1)
 日常生活をエンジョイするための福祉機器を展示します。
 「見て・触って・聞いて」自分に合ったものを見つけましょう!!どなたでも参加できます。
(※註1)展示は16:30まで常設しています。空いた時間に是非ご体験ください。
参加対象:網膜色素変性症当事者並びに家族、その他の視覚障がい者・医療関係者他
参加費:無料
お問合せ:080-1723-8871(小野)

今月のおくすり箱

健康食品(サプリメント)について

吉田典子

沖縄県薬剤師会 吉田 典子

 健康食品が原因と疑われる健康被害が相次いで報告され、健康食品が安全だと思われていた方は大変驚かれている事と思います。
 健康食品のチラシやネット等の派手なキャッチフレーズや体験談は、試してみたいなといった気分にさせられます。錠剤やカプセル状の製品は携帯しやすく手軽に栄養素を摂ることができます。しかしながら、健康食品はビタミンやミネラルなど健康の維持・増進に役立つ特定の成分を濃縮したものです。そのため、複数の使用は成分が重複し過剰摂取となる可能性があり、使用前に添付の説明書をよく読んでおくことが大切です。
 医薬品を服用中の方が健康食品を併用する場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。また、使用後に体調に異変を感じた際は、速やかに使用を中止し、医療機関を受診してください。健康の維持・増進には、毎日のバランスの取れた食事や規則正しい生活習慣が基本です。健康食品は食事で不足している栄養素の補給として上手に活用しましょう。
※「健康食品の安全性・有効性情報」サイトでは最新の安全性情報や成分等も調べることができます。

アンビシャス広場

~エッセイ~ 「いつやるの? 今でしょうーッ!」 渡口 正さん(ALS)

 ALSは、病気の進行に伴って徐々に飲み込む力が衰え、口から飲食できなくなります。
 そのため、胃ろうをつくり、栄養分等をそこから摂り入れるようにしますが、今の私にとって胃ろうは欠かせないものとなっています。
 令和4年2月頃、主治医の藤崎先生と看護師の中村さんから「今じゃなくてもいいけど、体力があるうちに胃ろうをつくった方がいいですよ。」とゆるいアドバイスを受けた私は、すぐ二人が私に気遣ってると感じました。
 当時の私はフツーに口から飲食してたし、病気の進行を遅らせたいのに進行を先取りするみたいなことに心理的な抵抗感がありました。でも、それは私が病気の進行を希望的に予測したからであって、ALSの患者さんを診てきた二人のアドバイスは客観的で現実的だろうし、転ばぬ先の杖みたいに胃ろうをつくるしかないと思い直しました。
 ひと月後、私はあっという間の30分で胃ろうをつくってもらいましたが、邪魔にならず、気にならず、不安いらずでビンゴ~!でした。

お勧め映画/DVD情報

1)IS~男でも女でもない性~
2011年、テレビ東京系ドラマ、全10話
性分化疾患という疾患で、両性具有の話。性同一性障害とは異なる疾患。
今でこそ、LGBTQなど「差別のない社会を」と話しやすい、理解されやすいですが、12年以上前の作品に、驚かされます。
出演、福田沙紀、剛力彩芽、高橋ジョージ、南果歩など

2)ブレイブ ‐群青戦記- 2021年
監督は、踊る大捜査線シリーズで有名な本広克行。
高校の校舎・生徒ごと、戦国時代にタイムスリップし、戦に巻き込まれていく事に。
出演、新田真剣佑、三浦春馬、松山ケンイチなど

★渡久地 優子{進行性骨化性線維異形成症(FOP)}★
・・・カラーセラピーやパワーストーンも好きで、時々、ネットで見てます。

今月の占い

  • 牡羊座 3/21-4/19
    対人での清潔感を大切に
    ☆リフレッシュ法:スキンケア
  • 牡牛座 4/20-5/20
    早寝早起きを心掛けて
    ☆リフレッシュ法:睡眠
  • 双子座 5/21-6/21
    体に優しい生活スタイルを
    ☆リフレッシュ法:お風呂
  • 蟹座 6/22-7/22
    美味しい物で心に栄養を
    ☆リフレッシュ法:食事
  • 獅子座 7/23-8/22
    挨拶からコミュニケーション
    ☆リフレッシュ法:読書
  • 乙女座 8/23-9/22
    疲れる前に息抜きを
    ☆リフレッシュ法:歌唱
  • 天秤座 9/23-10/23
    疲れたら趣味で楽しく
    ☆リフレッシュ法:ネット観覧
  • 蠍座 10/24-11/21
    リラックス出来る時間を
    ☆リフレッシュ法:音楽鑑賞
  • 射手座 11/22-12/21
    思い立ったが吉日の行動
    ☆リフレッシュ法:DVD鑑賞
  • 山羊座 12/22-1/19
    感謝の気持ちで接して
    ☆リフレッシュ法:ストレッチ
  • 水瓶座 1/20-2/18
    身の回りを綺麗に
    ☆リフレッシュ法:断捨離
  • 魚座 2/19-3/20
    忘れ物には気を付けて
    ☆リフレッシュ法:散歩

編集後記

 「今月の表紙は語る」をご寄稿されたのは、進行性核上性麻痺を罹患された母親をお世話された嵩元のり子さんです。進行性核上性麻痺は神経難病のひとつでパーキンソン病症候群の一種でありますが、まったく異なる疾患で罹患者数も県内で200名程度と希少疾患です。これまでは患者会もありませんでしたので、嵩元さんが沖縄での会を運営していくことは同じ疾患の患者・家族にとってはありがたい存在です。連絡先は9ページを参照ください。
 5月は「難病の日」があります。2014年5月23日に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立したことを記念して、日本難病・疾病団体協議会(JPA)により、5月23日が「難病の日」に登録されました。アンビシャスもイベントを開催します。
 難病患者の治療や生活課題等について一緒に「しおり」に残していくワークショップを考えています。
 例年5月に梅雨入りする沖縄ですが、断水が気になります。GWで長いお休みになるので、私は日常では体験できないことをやってみたり、だら~と心身ともに休みをとりたいです。あまりしない大掃除をすると大雨が降るかもしれせんね。

文 照喜名 通